多くの企業が導入しているリファラルマーケティング(紹介マーケティング)は、顧客が知人や家族に紹介することで新しい顧客を増やしていく手法です。SNSの普及に加えて消費者が信頼できる情報を求める傾向が強まったことで、広告より信頼される紹介の価値が急上昇しています。「広告費を抑えながら、質の高い顧客を自然に増やしたい」というニーズからも注目されています。
とくにBtoBでも導入が進み、紹介制度の設計次第で売上・顧客単価・ロイヤルティのすべてを同時に伸ばすことが可能です。
リファラルマーケティングを成功させるためには、顧客満足度を上げ紹介しやすい導線を整備することが大切です。紹介する人・紹介される人双方にとって納得感のあるインセンティブ設計も必須です。
この記事では、リファラルマーケティングの仕組み・メリット・デメリットを解説していきます。成功事例から成功のコツまで解説しますので参考にして下さい。
リファラルマーケティングとは

リファラルマーケティングとは、顧客が顧客を紹介することで信頼を起点に新規顧客が増えていくマーケティング手法です。広告と比べて高精度かつ費用対効果が高い点が特徴です。
既存顧客が知人・友人・家族などに商品やサービスを紹介し、新しい顧客を獲得する仕組みを活用しています。
人は広告より知人のおすすめを信じやすく、紹介を受けた顧客は購入確率や継続率が高いことが統計的にも示されています。参考:Nielsen調査(Global Trust in Advertising):
リファラルマーケティングの成功例としては、友人紹介で両者にクーポン付与することで利用者が急速に増加した「Airbnb」や、紹介すると追加のストレージ容量を獲得できる仕組みによってわずか15カ月で登録者390万人を達成した「Dropbox」などがあります。これらはすべて「紹介インセンティブ×シェアしやすい導線」の設計に成功した例です。
広告費を過剰に投下しなくても、良質なリードを自然に増やせる最も費用対効果の高いマーケティング施策のひとつとして注目されています。単なる紹介施策にとどめず、顧客が自然に紹介したくなる体験をどう設計するかが、リファラルマーケティング成功の分岐点となります。
リファラルマーケティングは「紹介キャンペーン」よりも広い概念であり、顧客体験の設計そのものが含まれる点を押さえておくと成功確率が上がります。
リファラルマーケティングが重要な理由
リファラルマーケティングが重要視されている背景には、広告の効きづらさが年々高まっていることがあります。
広告費は世界的に高騰しており、MetaやGoogleにおいてもCPAは上昇傾向にあります。また、アドブロックの普及により広告リーチは大幅に制限されています。消費者の広告耐性が上昇し、「広告=信用できない」という心理が強まっていることも理由としてあげられます。
顧客からの紹介は消費者からの信頼を得やすく効率的であるため、広告依存からの脱却を助けることにもつながります。紹介経由の顧客は、一般的な広告からの顧客よりも高いCVRを示すといわれています。広告効率が不安定な時代において、信頼を起点に広がるリファラルマーケティングは持続的な成長を支える重要な集客基盤となります。
広告・SEO・SNSの中で“紹介”だけが信頼を内包した流入であり、LTV構築に役立つ点が最大の差別化となります。
成果報酬型業務提携ツール
について相談してみる
リファラルマーケティングと似た手法との違い
リファラルマーケティングと似ている手法はいくつかあります。
- インフルエンサーマーケティング
- アンバサダーマーケティング
- コミュニティマーケティング
- バズマーケティング
- バイラルマーケティング
- ファンマーケティング
リファラルマーケティングの特徴は顧客が主体となり紹介を発生させる点です。設計者は紹介しやすい導線・インセンティブを整えることが重要です。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、SNSで影響力を持つ人物(インフルエンサー)に商品やサービスを紹介してもらい、認知拡大や購買を促す手法です。紹介者は一般顧客ではなく、フォロワーやコミュニティに対して強い影響力を持つ第三者である点が特徴です。
企業は投稿内容を依頼し金銭や商品提供を行うことが一般的で、広告に近い形式をとることも多くPR表記が必要です。拡散スピードが速く短期間で話題化できる一方、フォロワーと商品の相性が悪いとCVRが伸びにくい点が注意点です。
また、リファラルとは異なり、顧客の実体験に基づく紹介ではないため広告的に見えることがエンゲージメントを下げるリスクにもなります。リファラルマーケティングと比べると信頼性の質が異なり、目的は主に新規認知やブランド露出の強化にあります。
短期的な話題化や拡散力は高い一方で、LTV向上や継続率改善には直接結びつきにくい施策と言えます。
アンバサダーマーケティング
アンバサダーマーケティングは、商品やブランドに強い愛着を持つユーザーがブランドの応援者(アンバサダー)として継続的に発信・紹介を行う仕組みです。インフルエンサーが「影響力契約型」であるのに対し、アンバサダーは日頃から商品を愛用しているファン起点である点が大きな特徴です。
企業はアンバサダーに特別体験・限定イベント・非公開情報などを提供し、熱心なファンとしてブランドを支えてもらう形で、紹介よりも熱量と共感を広めることに重きを置きます。アンバサダー施策は認知というより「ブランド好意度」「信頼性」「長期的ロイヤルティ向上」に強い力を持ちます。
リファラルマーケティング同様に口コミが生まれやすいものの、目的は直接的な獲得ではなく、継続的なブランド浸透を担うブランディング寄りの役割です。友人紹介のような直接的な紹介行動を促すものではありません。長期的な関係づくりが成果につながるため、短期効果を狙う施策ではなく関係性マーケティングとして位置付けられます。
コミュニティマーケティング
コミュニティマーケティングは、ブランドに興味を持つユーザー同士が交流し、意見交換や共体験を通じてファン化を進める仕組みです。
ブランド公式コミュニティを活用し、ユーザー同士の関係性が価値の中心になります。ユーザーが自然に商品を語り合い、結果として紹介や口コミが生まれることもありますが、リファラルのように紹介を目的に設計するものではありません。
ブランド公式コミュニティの代表的な例としては、以下が挙げられます。
- オンラインサロン
- LINEオープンチャット
- Discord
- ファンクラブなど
コミュニティ内では口コミの説得力が高く、企業が介在しないリアルな意見が信頼を形成します。企業にとってはVOC(顧客の声)を収集しやすい場にもなり、新商品開発やサービス改善に役立ちます。成果がでるのは中長期間かかりますが、コミュニティを通じて信頼と熱量を育てることができます。リファラル施策と同時に実施することで、成果もより安定し持続的な成長につながります。
バズマーケティング
バズマーケティングはSNSやメディアで短期間に大量の話題・拡散を生み出す施策です。バズる(爆発的に広まる)状態を狙うため、話題性やユニークさ、意外性のある企画が中心となります。
最大の特徴は拡散そのものが目的であり、信頼に基づく紹介(リファラル)とは本質的に異なる点です。バズは偶発性が高く同じ施策でも再現性が低いため、「当たれば大きいが外れればゼロ」というハイリスク・ハイリターン型になります。商品の魅力よりも企画の面白さが強く反応されることも多く、バズってもCVRにつながらないケースも珍しくありません。
また急激に拡散されるため炎上リスクもあり、ブランドコントロールが難しくなる点もデメリットです。
バズマーケティングは認知獲得には強い力を持ちますが、LTV向上や信頼性を重視するリファラルとは役割が大きく異なります。
バイラルマーケティング
バイラルマーケティングは、サービスやコンテンツが利用者自身によって連鎖的に拡散される仕組みを設計する施策です。「1人が2人を、2人が4人を呼ぶ」というウイルス的(viral)な増殖ロジックが名前の由来です。
特徴は紹介行動を仕組みとして組み込む点で、拡散が連鎖するデザインが中心となります。たとえば、無料利用枠の拡大、友達招待で機能追加、閲覧しないと気になるUIなど、自然に他者へ共有したくなる仕掛けを作ります。明治|「きのこたけのこ国民大調査」キャンペーンや旅行代理店のH.I.SのInstagramアカウント「タビジョ」などは参加・共有を前提に設計された「キャンペーン型バイラル」の代表例です。
一方で、バイラルマーケティングにおける紹介の目的は内容の魅力や利便性であり、紹介者の信頼関係が中心となるリファラルマーケティングとは根本が違います。バイラルはユーザー間の信頼よりも設計された拡散動線が主役です。短期的な成長には強い一方で、継続率やLTVが不安定になりやすい側面があります
ファンマーケティング
ファンマーケティングは、ブランドに対して高い愛着や共感を持つ“ファン”を育成するマーケティング手法です。ファンの熱量を中長期的なビジネス成長につなげることを目的とします。ファンは商品を購入し続けるだけでなく、SNSで自主的に情報発信したり周囲に口コミしたりするため、リファラルと相性が良く、自然な紹介を生む土壌となります。
ただし目的は紹介の獲得ではなく、ブランドとファンの関係性を深めることです。ファンは企業の広告では届けられない領域までメッセージを届けることができ、高い信頼性・説得力を生みます。
具体的な施策としては、
- イベント開催
- 限定グッズ提供
- コミュニティ運営
- アップデート情報の先行提供
などがあります。
ファンマーケティングの核心はブランドの世界観作りと継続的価値提供です。短期の売上アップよりも、中長期でのLTV向上・離脱防止・継続利用に直結する施策です。
そのため、リファラルマーケティングの前段階として導入されることも多く、ユーザー同士の交流を通じてファン化を促します。紹介が生まれることはありますが、あくまで主目的は関係性の深化にあります。
リファラルマーケティングのメリット

リファラルマーケティングのメリットとしては以下が挙げられます。
- 信頼性が高く受け入れられやすい
- 紹介からの顧客は質が高い
- 効率よく顧客を獲得できる
- SNSを活用して紹介を広げられる
- データを収集・分析できる
メリットの最大効果を出すには紹介したくなる理由と紹介しやすい導線の両方が必要です。
信頼性が高く受け入れられやすい
紹介元が友人・知人のため、広告より圧倒的に受け入れられやすいというのが大きなメリットです。リファラルマーケティングが強力なのは、紹介という行為そのものが高い信頼性を持つからです。
人は見知らぬ企業の広告より、身近な友人や家族・仕事仲間からのおすすめを強く信用します。Nielsen(ニールセン)の国際調査では、「世界で最も信頼される情報源は口コミである」と明言されており、約90%以上の消費者が知人からの推薦を購入判断の重要要因として挙げています。これは広告やLP最適化では補いきれない、人間的な信頼の力によるものです。紹介経由の顧客が広告流入に比べて受容性が高い理由でもあります。
紹介によって接触する情報は、押し付けられた広告ではなく相手の善意や実体験に基づく推奨であるため、心理的ハードルが下がり初回購入だけでなく継続利用にも影響を与えます。情報過多の現代において、人々は信頼性のある情報を求める傾向がさらに強まっており、紹介ベースの流入は今後ますます価値が高まると考えられます。そのため、紹介を起点とした流入は短期的な獲得効率だけでなく、長期的な顧客価値の最大化にも寄与します。
紹介からの顧客は質が高い
紹介を受けた顧客は、期待値が明確でLTV(継続率・単価)が高い傾向があることもメリットとしてあげられます。BtoBでも「紹介→商談化率が高い」という統計が多数あります。
その理由は、
- 期待値が事前に適切に形成されていること
- 紹介者の体験を通じて価値を理解していること
- そして信頼を前提にサービスを利用するため、初期離脱が少ないこと
にあります。
だからこそリファラル顧客はLTV(顧客生涯価値)が高く、継続率・単価・利用意欲のどれもが安定して高い傾向があります。BtoB領域でも同様で、「紹介→商談→契約」という導線は一般リードよりも圧倒的に転換率が高く、SaaSやコンサルティングなど単価が高い業界では特に影響が大きいとされています。
また、紹介者が顧客に対して適切な情報を事前共有しているため、企業側の教育コストも削減され、オンボーディングの成功確率が上がるというメリットもあります。結果として、紹介リードは全体の顧客基盤を強化し、安定した利益構造を作る重要な流入源として企業にとって高い価値を持ちます。そのため、紹介リードは単なる集客手段ではなく、事業の収益性と安定性を高める戦略的チャネルといえます。
効率よく顧客を獲得できる
リファラルマーケティングは、広告費を抑えながら高い成約率を実現できる点が大きな魅力です。広告媒体の競争激化やCPA高騰により、従来の広告頼りの集客は効率が下がりつつありますが、紹介は顧客が自発的に広めてくれるため、コスト構造が根本的に異なります。紹介1件あたりに設定するインセンティブ(クーポン・ポイント・特典)は、広告費と比較すれば低コストであり、費用対効果(ROAS・CPA)は中長期で見て非常に優れています。
また、紹介リードはCVR(成約率)が非常に高く、一般広告の数倍に達するケースも珍しくありません。導線次第では登録率・初回購入率が大きく向上し、継続利用率も引き上げます。特にサブスク型サービスや定期通販、SaaSなどでは獲得の質が最も重要になるため、紹介施策は収益構造の改善に直結します。
そのため、リファラルマーケティングは獲得数と獲得の質を同時に高められる、極めて効率的な集客手法といえます。
SNSを活用して紹介を広げられる
現代のリファラルマーケティングは、SNSと極めて相性が良いのが特徴です。Instagram・X・LINE・TikTokなど、紹介リンクを1タップで共有できる環境が整っており、友人や知人への紹介が非常に簡単になっています。
かつてはメールや口頭での紹介が中心で、拡散力には限界がありました。しかしSNS時代の紹介は、個人のネットワーク全体に一瞬で情報が届くため、企業が多額の広告費を投じなくても広がる可能性を持っています。特にLINEは日本国内で最も強力な紹介導線の一つであり、家族や友人に気軽に共有しやすい点が大きな強みです。
また、ユーザーが自発的に「購入報告」「商品レビュー」「体験投稿」をSNSに投稿することで、紹介は広告ではなく、信頼性の高い口コミとして広がります。ただし、こうした紹介が自然に発生するかどうかは、商品やサービスの満足度だけでなく、紹介しやすい設計がされているかどうかに大きく左右されます。
重要なのは、紹介導線をできる限りシンプルにすることです。たとえば、
- 紹介リンクを1クリックでコピーできる
- そのまま使えるSNS投稿テンプレートを用意する
- QRコードで簡単にシェアできる
といった設計を行うだけでも、紹介件数は大きく変わります。SNS時代のリファラルマーケティングは、自然発生型に見えながらも、裏側での導線設計が成功率を大きく左右するマーケティング手法だと言えるでしょう。
データを収集・分析できる
リファラルマーケティングツールを導入すると、紹介経由の行動をデータとして可視化できます。たとえば、「誰が何件紹介したか」「どのキャンペーンが最も成約率(CVR)が高いか」「紹介による売上やLTVはどれくらいか」といった情報を、管理画面上で確認することが可能です。
これにより、
- 紹介が多く発生している顧客層はどこか
- どのインセンティブが反応率を高めているか
- どの紹介導線が最も効率的か
といった、改善に直結する判断材料が得られます。感覚ではなく、数字に基づいて施策を見直せる点が大きなメリットです。
また、多くのツールには、不正登録や複数アカウントによる不正紹介を検知・抑制する仕組みが備わっており、企業側の管理負担を大幅に軽減できます。
これらの分析データは、次回キャンペーンの内容改善やインセンティブの調整、ターゲットの再定義などに活用できます。リファラル施策は一度実施して終わりではなく、運用を重ねることで成果を高めていくマーケティング手法です。そのため、データを取得・分析できるかどうかは、紹介施策の成功率を大きく左右する重要な要素となります。
リファラルマーケティングのデメリット
リファラルマーケティングは多くのメリットがある一方で、いくつか注意すべきデメリットも存在します。
代表的なデメリットは、
- 短期で成果が出にくい
- 顧客満足度が低いと成立しない
- インセンティブ設計が難しい
- 不正利用のリスクがある
- 紹介リンクの管理が複雑になりやすい
といった点です。
リファラル施策は、紹介が自然に生まれるまで一定の時間がかかります。広告のように「予算を投下すればすぐ成果が出る」施策ではなく、顧客がサービスを使い、価値を実感したうえで初めて紹介が発生するため、短期成果を求める施策には向きません。
また、商品やサービスの満足度が低い場合、紹介自体が起こらず、施策が成立しないケースもあります。紹介は顧客の信頼を前提とするため、UXや提供価値が十分でない事業では期待した成果を得にくい点に注意が必要です。さらに、インセンティブを強く設定しすぎると、複数アカウント作成や自己紹介といった不正利用を招くリスクがあります。紹介リンクの発行や成果管理も、ツールを使わない場合は運用負荷が高くなりがちです。
ただし、これらのデメリットの多くは、顧客体験の改善、不正対策機能を備えたツールの導入、適切なインセンティブ設計によって大きく軽減できます。リファラルマーケティングは顧客満足度が高いサービスであることが前提となる施策であり、その条件を満たせば、中長期的に見て非常に費用対効果の高い集客チャネルとなります。
リファラルマーケティングは短期施策ではありません。顧客体験が弱いサービスでは成果が出にくいため、UX改善と不正対策が成功の前提条件です。
成果報酬型業務提携ツール
について相談してみる
リファラルマーケティングを成功させるコツ

リファラルマーケティングを成功させるコツを確認しておきましょう。
- キャンペーン告知を目に留まりやすいところに
- 紹介を発生させるターゲットを定める
- 紹介しやすい環境を整える
- 顧客満足度を上げるために改善・提供し続ける
- 費用対効果は中長期でみる
- 限定サービス・グッズの提供
紹介がたまに起きるラッキーな出来事ではなく、意図的に設計された仕組みとして継続的に起きる状態をつくることが重要です。
キャンペーン告知を目に留まりやすいところに
リファラル施策を成功させるうえで、キャンペーン告知を「どこに出すか」は非常に重要です。どれだけ魅力的なキャンペーンでも、ユーザーに気づかれなければ存在しないのと同じだからです。実際、告知の配置次第で成果が大きく変わるケースは少なくありません。
よくある失敗例としては、
- メールのフッターに小さく記載する
- マイページの奥にひっそりリンクを置く
など、ユーザーの行動導線上にない場所で告知してしまうケースが挙げられます。
効果が出やすいのは、ユーザーの目に自然と入るタイミングや場所です。たとえば以下のようなポイントが有効です。
【EC・サブスク系の場合】
- 購入完了画面(サンクスページ)
- 購入完了メール/発送完了メール
- マイページ上部のバナー
- 商品同梱のチラシやクーポン
【アプリ/SaaSの場合】
- ログイン直後のダッシュボード
- 一定条件達成時のポップアップ(例:利用回数◯回以上)
- 解約防止フロー内での紹介特典案内
特に、初回購入直後や成果を実感した直後は、商品やサービスへの好意が最も高まっており、紹介意欲も強くなります。このタイミングで告知することが重要です。
文言は「紹介するとあなたと友達に○○がもらえます」など、直感的に理解できるシンプルな表現が効果的です。また、1つの画面に複数の訴求を詰め込まず、「1画面1メッセージ」を意識することで、キャンペーンが目に留まりやすくなります。
TOPページやマイページ、商品同梱物など、顧客が日常的に触れる導線に継続的に配置することで、紹介数は安定して伸びていきます。
紹介を発生させるターゲットを定める
リファラル施策では、紹介を発生させるターゲットを明確に定めることが重要です。実際に行動してくれるのは、商品やサービスへの満足度が高い一部の顧客であり、全顧客に向けて一斉に告知しても成果は出にくいからです。
ターゲットを定めずに配信すると、自分には関係ない施策と受け取られやすく、結果として薄く広く告知しただけで終わってしまいます。そのため、まずは紹介が発生しやすい顧客層に絞って施策を行うことが重要です。
代表的な紹介が生まれやすい顧客セグメントには、以下のような例があります。
- 利用回数や購入回数が多い顧客
- 継続期間が長い定期購入者や長期契約者
- NPS(推奨度)が高い顧客(アンケートなどで抽出)
- 高単価商品や上位プランを利用している顧客
また、ターゲットを定める際は、「紹介してくれそうな人」だけでなく、「紹介されたときに喜ばれる相手」もあわせてイメージすることが大切です。
たとえば、
- 子ども向け通信教育であれば、子育て世代のママ友ネットワーク
- BtoB/SaaSであれば、同業他社や関連部門の担当者
といった形で、紹介が自然につながる関係性を想定します。
運用の進め方としては、まず上位20〜30%の顧客セグメントに限定して施策を試し、反応を見ながら徐々に対象を広げていくのがおすすめです。紹介元となる顧客セグメント別に成果を比較することで、どの層が紹介の主戦力になっているのかを明確にできます。
紹介しやすい環境を整える
リファラル施策では、顧客が迷わず紹介できる環境を整えることが欠かせません。紹介したい気持ちがあっても、「やり方が分からない」「手順が面倒」「何を送ればいいか迷う」と感じた瞬間に、行動はほぼ止まってしまうからです。
そのため、紹介はワンクリックで完結する導線を用意し、誰でも直感的にシェアできる状態を作ることが重要です。たとえば、
- LINEで1タップ紹介できる導線
- 紹介リンクや紹介コードの自動発行
- そのまま使える文章テンプレートの用意(SNS・メッセージ用)
といった仕組みは必須と言えます。
具体的な紹介しやすい導線の例としては、
- 「紹介リンクをコピー」ボタン
- 「LINEで送る」「Xでシェア」などのSNS連携ボタン
- 紹介する側の手間を極限まで減らすシンプルなコピー
- コピペしてそのまま送れる文章テンプレート
などが挙げられます。
文章テンプレートは、
「いつも使っている○○のサービス、紹介コードから登録すると初回○○円オフになるみたい」
といったように、説明不要で意図が伝わる内容が効果的です。
また、紹介コードが長すぎて入力が面倒だったり、紹介専用URLが分かりにくかったりすると、それだけで紹介をやめてしまうケースも少なくありません。紹介したいのに不便だからやめる、という要因を一つずつ取り除いていくことが、リファラル施策を成功させるポイントです。
顧客満足度を上げるために改善・提供し続ける
リファラルマーケティングを成功させるための最大のポイントは、顧客満足度を継続的に高め続けることです。リファラルは一時的な施策ではなく、顧客満足度の結果として自然に生まれるものだからです。商品やサービスの評価が中途半端な状態では、どれだけ紹介導線を整えても紹介数は伸びません。
まずは、NPSやアンケートを活用して「知人に勧めたいと思うか」を定期的に確認しましょう。同時に、クレーム内容や解約理由を整理し、顧客が不満を感じているポイントを一つずつ改善していくことが重要です。カスタマーサポートの対応品質やレスポンス速度を見直すことも、満足度向上に直結します。
顧客が「良かったからおすすめしたい」と自然に思える体験を提供できているかどうかが、紹介が生まれるかの分かれ目です。想定以上の成果や品質を提供できているサービスは、紹介されやすくなります。また、サポート対応やブランドの姿勢に好感を持ってもらえる状態を維持する工夫も欠かせません。
具体的には、定期通販の場合、初回商品が届くまでの不安を解消する同梱物やサポート体制を整えることが効果的です。効果を実感するまでのステップを丁寧に説明するフォローコンテンツも喜ばれます。BtoBやSaaSの場合は、導入直後のオンボーディング支援を手厚くし、顧客が成果を実感するまでを最短距離で導くサポートが求められます。リファラルマーケティングを成功させるためには、紹介制度を作る前に、まずプロダクトと顧客体験を磨き続けることが前提条件となります。
費用対効果は中長期でみる
リファラルマーケティングの費用対効果は、中長期視点で評価することが重要です。リファラルは、始めてすぐに成果が出る即効型の施策ではなく、時間とともに紹介が積み上がっていく性質を持っているからです。
施策開始直後は、紹介制度の認知や導線の理解が進んでおらず、紹介件数が少ないのが一般的です。そのため、1ヶ月程度で成果が出ないからといって施策を中止したり、広告と比較して「効果が弱い」と判断するのは早すぎます。このような短期判断は、リファラル施策の特性と相性がよくありません。
初期段階は、仕組みづくりと認知拡大のフェーズと割り切りましょう。紹介導線や告知方法が浸透し、満足度の高い顧客層に情報が届き始めるまでには一定の時間がかかります。目安としては、3ヶ月から半年程度で紹介が自然に増え始めるかどうかを観察するのが適切です。
一度紹介のベースができると、その上に新たな紹介が積み重なっていきます。この点が、出稿を止めると効果が止まる広告施策とは大きく異なる点です。リファラルマーケティングは、短期的な数字だけで判断せず、蓄積効果を含めて中長期で費用対効果を見ることが成功のポイントとなります。
限定サービス・グッズの提供
リファラル施策では、限定サービスや限定グッズをインセンティブとして提供することも効果的です。インセンティブは、必ずしも金額が大きければよいわけではなく、「特別感」や「限定ステータス」のほうが紹介意欲を高めるケースが多いからです。リファラルは、顧客の感情が動かなければ発生しません。
代表的なインセンティブには、以下のような種類があります。
【金銭・ポイント系】
- クーポンや割引
- ポイント付与
【限定価値系】
- 限定グッズや限定デザイン商品
- ログインユーザー限定コンテンツ
- 限定イベントへの招待
- 先行販売や優先予約
【ステータス系】
- 紹介ランク制度(Bronze/Silver/Goldなど)
- プロフィールに付与されるバッジ
- アプリ内での特別表示
「自分だけ」「一部の人だけが得られる」といった限定要素は、金銭的な価値以上に心理的な満足度を高めやすく、紹介の動機づけとして有効です。一方で、報酬を強くしすぎると報酬目的の不正紹介が増えるリスクがある点には注意が必要です。
また、紹介した側だけが得をする設計だと、紹介された側に不信感を与えてしまうことがあります。そのため、紹介者と被紹介者の双方にメリットがある設計を意識することが、健全で継続的なリファラル施策につながります。
成果報酬型業務提携ツール
について相談してみる
リファラルマーケティング導入の手順
ここからはリファラルマーケティングを導入する際の手順を解説していきます。
リファラルマーケティングを導入する際は戦略→ 仕組み→ 運用を順番に固めていく必要があります。紹介制度そのものよりも、設計順序が成果を左右するからです。いきなり「紹介キャンペーンをやろう!」ではなく、
- 目的の明確化
- ターゲットの設定
- 紹介キャンペーンの検討
- ツールの選定・運用体制の構築
- 紹介キャンペーンの開始・認知拡大
の順で組み立てると失敗しにくいです。
目的の明確化
リファラル施策を始める前に、まず「何を増やしたいのか」という目的を明確にしましょう。「とにかく紹介を増やす」こと自体は目的ではなく、紹介はあくまで手段だからです。そのため、最初に上位目的(KGI)を定めることが重要になります。
よくある目的の例としては、
- 新規会員登録数を増やしたい
- 初回購入数を増やしたい
- 特定プラン(年額プラン、上位プラン)の利用者を増やしたい
- アプリのアクティブユーザー数を増やしたい
- 短期売上ではなく、高LTV顧客を増やしたい
といったものが挙げられます。
ここで重要なのは、目的を一つに絞ることです。複数の目的を同時に追うと、インセンティブ設計や導線、評価指標が曖昧になり、施策全体がブレてしまいます。
具体的なゴール設定の例は以下の通りです。
- ECの場合:紹介経由の初回購入件数
- サブスクの場合:紹介経由の有料会員数
- BtoBの場合:紹介経由の有効商談数
ゴールを決めたら、「3ヶ月で紹介経由の新規会員を100件獲得する」といった形で、必ず数値目標を設定しましょう。「売上を上げたい」「新規を増やしたい」といった抽象的な目的のまま進めると、何をもって成功とするのかが分からず、結果的に施策がうまく機能しなくなります。
ターゲットの設定
リファラル施策では、「誰に紹介してもらうか」と「誰を紹介してほしいか」を分けて設計することが重要です。リファラルには、紹介してくれる側と、紹介される側の2種類のターゲットが存在します。
- 紹介してくれる側(既存顧客・既存ユーザー)
- 紹介される側(新規の見込み顧客)
この2つを明確にイメージしておくことで、訴求内容や導線、インセンティブの設計がブレにくくなります。
まず「紹介してくれる側」は、すべての顧客が対象になるわけではありません。一般的に紹介が発生しやすいのは、以下のような顧客層です。
- 継続期間が長い、または購入回数が多い
- アンケートやNPSで満足度が高い
- 高単価プランや上位プランを利用している
- サポートやカスタマーサクセスと接点が多い
顧客リストを利用回数や継続期間でソートし、上位20〜30%をリファラル施策のコアターゲットとして設定するのがおすすめです。まずはこの層に限定してキャンペーンを案内し、反応を見ながら徐々に対象を広げていきます。
一方で、「紹介される側」についても具体的にイメージすることが重要です。年齢層や性別、紹介者との関係性まで想定することで、「どんな言葉で紹介してもらうか」「どんなメリットを伝えると響くか」が明確になります。
紹介キャンペーンの検討
紹介キャンペーンを設計する際は、まず「どこをゴールにするのか」を明確に決めることが重要です。ゴールが曖昧なままでは、インセンティブ設計や成果評価がブレてしまいます。
代表的なゴールの例としては、
- 会員登録
- 初回購入
- アプリのダウンロード
- 資料請求
- 来店予約
などが挙げられます。
次に、ゴールに応じたインセンティブの設計を行います。インセンティブには、主に以下の2種類があります。
- 片側インセンティブ:紹介した人のみが特典を受け取れる形式
- 双方インセンティブ:紹介した人と紹介された人の双方に特典を付与する形式
※BtoC向けサービスでは、参加ハードルが低く成果が出やすいため、こちらが基本となります。
あわせて、特典を「いつ付与するか」も設計が必要です。登録時に付与するのか、購入完了後に付与するのかによって成果の質や不正リスクが変わります。ゴールに合わせて報酬額と付与タイミングを具体的に決めましょう。
成功しやすい紹介キャンペーンの特徴は、双方にメリットがあり、参加手順がシンプルで、SNSと相性が良い点です。一方で、不正利用を防ぐためのルール設計も欠かせません。
不正防止のために検討すべき項目の例は以下の通りです。
- 自己紹介(自己アフィリエイト)を許可するかどうか
- 同一住所や同一決済手段による重複登録をどう扱うか
- 不正が疑われる場合は特典を無効化する旨を利用規約に明記する
これらを事前に定めておくことで、健全で継続的な紹介キャンペーン運用が可能になります。
ツールの選定・運用体制の構築
リファラルマーケティングを安定して効果的に運用するためには、目的に合ったツールの選定と運用体制の整備が欠かせません。仕組みだけを作っても、運用が回らなければ成果は継続しないからです。
まずは、専用のリファラルマーケティングツールを利用するのか、もしくは自社開発で対応するのかを検討しましょう。その際、社内にどの程度の運用知識や人材リソースを確保できるかを確認することが重要です。自社開発は柔軟性が高い一方で、開発・保守の負担が大きくなる点には注意が必要です。
一方、専用ツールを利用すれば、紹介リンクの発行や成果計測、不正対策などを効率的に運用できます。リファラルマーケティングツールとしては、invyやlinyなどが代表的な選択肢として挙げられます。
ツール選定においては、目的や運用体制に合致しているかを前提に、機能とコストのバランスを見極め、無理なく継続できる仕組みを選ぶことが大切です。運用を継続できる体制を整えることが、リファラル施策を成果につなげるポイントとなります。
紹介キャンペーンの開始・認知拡大
紹介制度を設計したら、次は紹介キャンペーンを開始します。ただし、開始しただけでは成果は出ません。重要なのは、「どれだけ気づかせるか」「何度思い出させるか」という認知拡大の設計です。以下の手順で行いましょう。
- ローンチ時の初期告知
- 常設導線の設置
- 社内(サポート・営業)への共有
- 継続的な認知・リマインド施策
- データ確認と改善(PDCA)
①ローンチ時の初期告知
キャンペーン開始時には、既存顧客に対して一斉告知を行い、まず存在を認知させます。
【既存顧客への一斉告知例】
- メールマガジン
- アプリのプッシュ通知
- LINE配信
あわせて、「紹介プログラム」専用ページを設置し、内容をいつでも確認できる状態を作りましょう。
②常設導線の設置
一度の告知だけでは、ほとんどのユーザーに忘れられてしまいます。そのため、日常的に目に入る場所に常設導線を設けることが重要です。
【Web/アプリの常設導線例】
- マイページやダッシュボードの常設バナー
- 「紹介プログラム」専用ページへのリンク
③社内(サポート・営業)への共有
顧客と直接接点を持つサポートや営業チームにも、紹介キャンペーンの内容を共有します。
「このタイミングで、こう案内してほしい」といったトークスクリプトを用意すると、現場での案内がスムーズになります。
④継続的な認知・リマインド施策
認知を継続させるためには、利用文脈に合わせたリマインドが効果的です。
- 購入直後
- 継続◯ヶ月目
- 成果達成時(例:◯kg減量、◯CV達成)
また、「人気No.1の紹介特典はこれ」「◯◯さんは紹介でこんなにお得に」といった実績紹介や、期間限定キャンペーン(特典2倍、先着限定など)を組み合わせることで行動喚起につながります。
⑤データ確認と改善(PDCA)
紹介キャンペーンは開始後の運用が最も重要です。データや顧客の反応を確認しながら、継続的に改善を行いましょう。
【週次/月次で確認したい指標】
- リファラル経由の登録数・購入数
- 紹介リンクの発行数と実際の利用数
- 告知施策のメール開封率・クリック率
見られていない場合は導線を見直し、成果につながらない場合はターゲットや特典内容を再検討します。
リファラル導入で多い失敗は、目的が曖昧なままキャンペーンだけを作り、ターゲットを絞らずに一斉告知して終わるケースです。
目的やロイヤル顧客の定義を明確にし、紹介する人・紹介される人の双方に納得感のあるインセンティブを設計しましょう。トラッキングと問い合わせ対応を含めた運用体制を整え、継続的な認知・リマインドを行うことで、紹介は「たまに起きるラッキー」から「意図的に伸ばせる集客チャネル」へと変わります。
リファラルマーケティングの成功事例
リファラルマーケティングの成功事例を5つ紹介します。
成功例としてあげられている5つの共通点は
- 「導線がシンプル」
- 「インセンティブが魅力的」
- 「SNSと相性が良い」
の3つです。
Oisix

画像引用:Oisix
Oisix(オイシックス)は、食品宅配サービスの中でもリファラルマーケティング(友人紹介制度)を成功させた代表例です。その最大の特徴は、紹介者と紹介される人の双方に強力な特典を提供した点にあります。紹介者には6,000円分の買物券、紹介される人には同額の特典に加えて「人気商品セットの大幅割引」「送料無料」「無料プレゼント」など、初回利用のハードルを大幅に下げる内容を用意しました。
また、Oisixは「安心・安全な食材」というブランド価値を長年築いており、ユーザーが友人に薦めやすい土壌がもともと存在していました。ターゲットである子育て層・健康志向の層は口コミの影響力が大きく、紹介との相性が良かった点も成功要因です。
さらにSNSとの相乗効果により紹介制度が拡散し、新規顧客獲得コストを抑えながら継続利用者を増やすことに成功しました。結果として、紹介 → 初回体験 → 定期利用の良い循環を生み出し、Oisixの成長を支えています。
メルカリ

画像引用:メルカリ
メルカリは、日本でリファラルマーケティングを最も効果的に活用した企業の一つです。特に有名なのが招待コード制度で、紹介者・被紹介者の双方がポイントを獲得できる仕組みを導入し、これが爆発的なユーザー増加につながりました。ポイントはアプリ内ですぐに使えるため、紹介された側も参加のハードルが極めて低くインセンティブ設計が非常に優れていました。
さらに、メルカリはサービス特性上一人で完結しないマーケットプレイスであり、出品者・購入者が増えるほど価値が高まるネットワーク効果を持ちます。紹介によって新規ユーザーが増えるほど商品の流動性が上がり、既存ユーザーにとってもメリットが大きくなる構造でした。加えて、SNSと相性の良い招待コード文化が拡散を後押し。TwitterやInstagramでコードがシェアされ、広告に頼らず自然増が起こる状況を作り出しました。ユーザーの日常に馴染み、紹介行動が自然発生しやすい設計だった点が大きいです。
結果として、メルカリは招待コード制度を軸に低コストでユーザー数を急拡大させ、国内最大級のフリマアプリへと成長しました。
こどもちゃれんじ

画像引用:こどもちゃれんじ
教育サービスの中でリファラルマーケティングを効果的に活用した代表例にこどもちゃれんじがあげられます。特に「お友だち・きょうだい紹介制度」が長年定着しており、紹介者・被紹介者の双方がプレゼントを受け取れる仕組みが強く機能しています。紹介特典はおもちゃ・育児グッズ・図書カードなど子育て家庭に刺さる魅力的な景品で構成されており、インセンティブの設計が極めて優れていました。
こどもちゃれんじは、ユーザーが「ママ友」や「保育園・幼稚園のつながり」を通じて自然に会話する機会が多いサービス領域であり、口コミが発生しやすい特性があります。そのため紹介制度は非常に相性が良く、日常のコミュニティの中で拡散が自然に起きるマーケット構造を持っていました。さらに、教材そのものが「見せたくなる・試させたくなる」体験価値を持ち、子どもが楽しむ姿が紹介動機として働きやすかったこともポイントです。紹介された側は無料体験やサンプル提供を受けることで初回ハードルが下がり、安心して入会しやすくなる導線が整備されています。
結果として、こどもちゃれんじは紹介制度を通じて低コストで継続率の高い顧客層を獲得し、長期契約となりやすい教育サービスの特性と掛け合わせてLTV最大化に成功しました。
Dropbox

画像引用:Dropbox
Dropboxは、世界的に最も成功したリファラルマーケティング事例の代表格です。広告費をほぼ使わずに、たった数年でユーザー数を数千万規模へ拡大した背景には、超強力な紹介インセンティブがあります。
Dropboxは「紹介した人数に応じて自分のストレージ容量が増える」という、ユーザーにとって直接的に価値ある特典を付与しました。しかも段階的に容量が増え、継続的に紹介したくなる設計。金銭ではなくサービス価値の増加をインセンティブにしたのが革新的であると注目されました。
クラウドストレージは容量がすべてという利用価値に直結した報酬が極めて効果的で、ユーザーが自主的にSNS・ブログで拡散する状況を作り出しました。まさにプロダクト自体がマーケティング装置となったケースです。結果、Dropboxは広告費ゼロで登録ユーザーの約35%をリファラルで獲得し、成長率を劇的に引き上げました。
劇団四季

画像引用:劇団四季
劇団四季は、クラシックな紹介制度だけでなく、口コミを中心としたリファラル型マーケティングで成功した日本の文化産業の例です。特に「四季の会」という会員制度が核となっています。四季の会では、会員が友人を公演に誘いやすい仕組み(先行予約・割引・優待席など)を用意し、連れていくとメリットがある設計が長年の集客を支えています。演劇は「誰かに薦めたい」「一緒に行くと楽しい」というソーシャル性が強く、会員制度と相性が良好でした。
さらに劇団四季は、感動体験を重視した圧倒的な品質を継続して提供しており、体験の満足度 → 自然な口コミ → 新規客獲得のサイクルを生み出しました。友人紹介は顧客満足に依存するため、プロダクト(作品)のクオリティを最重要視する戦略が機能しています。
結果、劇団四季の公演はリピーターと紹介来場が多く、文化産業では異例の自走型の集客構造を確立しています。
成果報酬型業務提携ツール
について相談してみる
リファラルマーケティングについてQ&A
リファラルマーケティングについてQ&Aを紹介します。
リファラルマーケティングはBtoBにも効果はある?
リファラルマーケティングは、BtoCだけでなくBtoB領域においても高い効果を発揮するケースが多く見られます。BtoBの購買は単価が高く、意思決定プロセスが慎重になりやすいため、信頼できる第三者からの紹介は、非常に強力な購買動機の一つとなります。
実際、米国を中心とした一部の調査や事例では、BtoBにおける新規導入の多くが既存顧客やパートナーからの紹介を起点としていると報告されています。広告やアウトバウンド施策と比較して、紹介経由のリードは信頼度が高く、商談化率や成約率が高い傾向があります。
BtoB・SaaSやコンサルティング・製造業など幅広い業界で、「顧客紹介制度」「パートナー紹介プログラム」「カスタマーサクセスによる推薦依頼」といった取り組みが成果を上げています。特にLTVが大きいBtoBビジネスでは、紹介によって顧客獲得コスト(CAC)を大幅に抑えられる点が大きなメリットです。
ただし、BtoCのようなポイント還元や割引だけでは、BtoBでは動機づけが弱い場合があります。そのため、金銭的インセンティブよりも、信頼・実績・成功事例の共有や、紹介した担当者の評価が高まるなど、職務上のメリットを感じられる設計が重要になります。
結論として、リファラルマーケティングはBtoBでも非常に有効な手法であり、むしろ高単価かつ信頼重視のBtoBだからこそ、効果が最大化しやすいマーケティング施策だと言えるでしょう。
リファラルマーケティングのインセンティブはどんなものがある?
リファラルマーケティングのインセンティブは、「紹介者」と「被紹介者(友人)」の双方にメリットを提供することで、紹介行動を自然に促す役割を持ちます。代表的なインセンティブは以下の通りです。
【リファラルマーケティングのインセンティブ一覧表】
| インセンティブの種類 | 内容・特徴 | 向いている業態・サービス | 代表例・補足 |
|---|---|---|---|
| 金銭・割引系(即効性重視) | ポイント付与・キャッシュバック・割引クーポンなどを付与 | BtoC全般・EC・アプリ | メルカリ・Uberなど。即効性は高いが不正対策必須 |
| 体験価値向上系(継続率重視) | 無料体験延長・トライアル期間延長・機能追加 | SaaS・サブスク | 被紹介者の導入ハードルを下げLTV向上に寄与 |
| 物品・ギフト系(BtoC向け) | 食品・日用品・限定商品などの現物特典 | 食品EC・日用品EC | Oisixの詰め合わせなど。体験価値を高めやすい |
| ステータス・限定価値系(ロイヤル化) | 会員ランクアップ・限定機能・限定表示 | アプリ・コミュニティ・SaaS | 紹介数に応じたランク制度。継続利用と相性が良い |
| 双方メリット型(王道) | 紹介者・被紹介者の双方に同じ特典を付与 | BtoC全般 | 心理的抵抗が低く最も成果が出やすい設計 |
| 社会貢献型(価値観訴求) | 紹介1件につき寄付・支援が発生 | 教育・医療・NPO・ESG領域 | 金銭より共感・理念を重視する層に有効 |
インセンティブは金銭だけでなく、被紹介者の初回体験を成功させる価値提供のほうが、継続率やLTVの向上につながりやすい傾向があります。成功企業の多くは、単なる報酬設計ではなく「紹介された側が価値を実感できる体験」を重視しています。なお、BtoBでは金銭的報酬よりも、アップグレードや限定機能などの追加価値が好まれるケースが一般的です。
まとめ
リファラルマーケティングは、広告効率の不安定さを補いながら、長期的に安定した成長を実現できるマーケティング手法です。紹介は顧客満足度の結果として生まれるものであり、適切な導線設計とインセンティブ設計を行うことで、継続的かつ自然に増えていく仕組みを構築できます。
中長期で見た場合、リファラルマーケティングは費用対効果が非常に高く、広告よりも信頼を得やすい点が大きな特徴です。BtoB・BtoCを問わず活用でき、特に信頼が重視される領域では高い効果を発揮します。ただし、成功の前提として「紹介したい」と思ってもらえるだけのプロダクトや顧客体験を磨き続けることが欠かせません。
広告やSNSだけでは獲得しづらい、質の高い顧客を自然に増やせるのがリファラルマーケティングの強みです。自社で導入を検討する際は、「どの導線で紹介が生まれるのか」「顧客が本当に価値を感じるインセンティブは何か」という点から、具体的に考え始めてみましょう。