ECマーケティングとは、ECサイトの売上を増加させるためのマーケティングです。
ECマーケティングは非常に重要です。競合他社が数多く存在するEC業界においてサイトで売上を伸ばすためには、ただ商品を掲載するだけでは不十分だからです。
「どうやって集客するか」「どうやって購入に導くか」「どうやってリピーターを増やすか」を一貫して考え、戦略的に行うのがECマーケティングです。例えば、購入率(CVR)の改善、リピーター向けのメルマガ配信、Web広告の運用などを通じて売上を向上させます
商品に知名度や価格競争力が強いなら集客には苦労しないことが多いですが、90%以上のECサイトが集客の課題を抱えています。
この記事では、
- ECマーケティングとは何か
- 具体的な戦略
- 集客のための施策
- 成功事例
- ECマーケティングの最新トレンド
までを体系的に解説します。
ECサイトを開設して売り上げを伸ばすための施策の参考にして下さい。
ECマーケティングとは

ECマーケティングとは、ECサイト(ネットショップ)に特化したマーケティング活動全般を指します。
EC(Electronic Commerce:電子商取引)サイトにおいて、商品の販売を最大化するために、オンライン上の特性を活かして「集客」「購入の促進(コンバージョン率向上)」「リピーターの獲得」の3つのステップで戦略を立案・実行し、売上や利益を向上させることを目的としています。
従来の店舗型のマーケティングと比べて、地理的な制限がない、顧客の行動データ(アクセス履歴、購入履歴など)を詳細に分析しやすいといった特徴があります。
経営学者ピーター・ドラッカーは、マーケティングの本質について、次の有名な言葉を残しています。
| 「マーケティングの目的は、販売を不要にすることだ。」
マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、顧客に製品とサービスを合わせ、おのずから売れるようにすることである。『マネジメント』より |
売り手が売りたいものではなく、顧客が求めているものを深く理解しニーズを満たす商品やサービスを生み出すことが重要だとしています。
顧客ニーズに合致したものならセールスをしなくても顧客自ら進んで購入します。マーケティングとはこの仕組みを作ることだとしたのです。
ECサイトは顧客の行動をデータで把握したいというデジタル特性があります。ドラッカーが目指した顧客理解と、それに合わせた提供価値を高度に実現しやすい環境にあると言えます。
結果として顧客に求めていたものだと感じさせ、販売という努力をしなくても購入が成立する状態を目指すのがECマーケティングの理想です。
ECマーケティングではオンライン上の集客・販売・顧客維持までを一貫して考え、売上と利益を最大化することが目的です。
ECマーケティングとマーケティングの違い
一般的なマーケティングが「商品・市場・流通・広告」を広く扱うのに対し、ECマーケティングはデジタル環境での売上を最大化するための購入までの導線の改善と費用対効果の最大化に特化しているという違いがあります。
ECサイト特有のデジタルデータを活用し、たとえば、店舗マーケティングがチラシや店頭施策を重視するのに対し、ECマーケティングではSEO・SNS広告・分析ツール活用など、データに基づいた手法が主軸です。
【一般マーケティング】
- 主な施策:店舗販促・テレビCM・紙媒体など
- データ活用:アンケート・購買データ
- 成果測定:販売数・来店数
【ECマーケティング】
- 主な施策:SNS広告・SEO・メールマーケティング
- データ活用:Web解析・ヒートマップ・CRMデータ
- 成果測定:CV数・LTV・ROAS・離脱率
一般的なマーケティングが実店舗を訪れた顧客をターゲットとしているのに対し、ECマーケティングは世界中のユーザーをターゲットにしています。
これはインターネット環境のあるすべての国や地域を対象にできるからです。越境ECを開設すれば、海外展開も可能です。
また、パソコンやスマートフォンを通じて顧客と対応するので、対面での接客が必要ありません。そのためサイトのユーザビリティの高さが重要になります。
ECマーケティングはオンラインに特化した販売活動です。顧客行動をデータで把握し、改善し続けることが成功の鍵です。
ECマーケティングの集客施策

ECマーケティングの第一歩は、見込み客をサイトに呼び込むこと(集客)。集客が多ければ、ブランドの認知が上がりCVRもアップするからです。
主な集客施策には以下のような手法があります。
- Googleショッピング広告・PMAX
- SNS広告(Meta・LINE)
- SEO・コンテンツSEO
- SNS(Instagram・TikTok)
- アフィリエイト広告(成果報酬型広告)
集客の目的は数より質です。広告費を増やす前に、誰に・何を・どの媒体で届けるかを定義することが成果を左右します。
Googleショッピング広告・PMAX
商品フィード(Merchant Center)を元に、検索・YouTube・Discover・Gmail・マップ等へ自動配信する手法です。
Googleで検索した時に検索結果の上に商品の写真・価格・店名が表示されるのがGoogleショッピング広告で、PMAXはGoogleが自動で検索やYouTubeなどに広告を出してくれる最新の仕組みです。
商品の詳細がユーザーがクリックする前に表示されるので、購入意欲が高いユーザーをサイトに呼び込みやすいという特徴があります。
PMAXはAIによる自動最適化でコンバージョンの最大化を目指すことができます。従来のようなキャンペーン管理が不要になるので運用工数が削減できるというメリットがあります。
SNS広告(Meta・LINE)
LINE・Instagram・X(旧Twitter)・FacebookなどSNS広告は、ユーザーの嗜好データを基に高精度なターゲティングが可能です。
Meta広告とは、例えばインスタのタイムラインやストーリーにある「広告」と書かれた投稿のことです。検索したことのある商品を、他の場面でもよく見かけるのはこの仕組みが働いているからです。
SNSのユーザーのプロフィールや閲覧履歴などをもとに、効率よく広告表示を絞り込むことができます。
特にInstagramやLINEはECと相性がよく、商品理解と購買行動をつなげやすい媒体です。
SEO
長期的に安定した流入を得るならSEO(Search Engine Optimization)対策が不可欠です。SEOは検索エンジン最適化という意味で、GoogleやYahoo!で検索されたときにサイトをより上位に表示させるための対策のことをいいます。
ECサイトの場合、「商品ジャンル+課題系KW」でコンテンツを作成し、購買前の顧客の訪問者数を増やすことにつながります。ユーザーが知りたい情報を発信して集客を目指します。
コストをおさえつつ、中長期的な新規の来訪者の流入が期待できる手法です。
SNS(Instagram・TikTok)
InstagramやTicTokなどSNSを運用して、自社ブランドのアカウントを育てファンを作る方法です。
おしゃれな写真などをInstagramに投稿したり、使い方動画や体験レビューをTicTokで発信して共感した人にフォローしてもらいます。
フォロワーが増加することで、広告を出さなくても購買行動につながることが期待できます。
アフィリエイト広告(成果報酬型広告)
アフィリエイターに商品やサービスを紹介してもらい、成果が発生した場合のみ費用が発生する成果報酬型広告です。
費用対効果が高く、リスクが低い広告手法なので多くのECサイトが利用していて、幅広く認知を広げたい企業に向いています。一方で、パートナー選定や不正対策が課題となります。
アフィリエイト広告を始めるのには、ASPやアフィリエイターの選定などの準備が必要となります。
最有力な施策はWeb広告です。Google広告とMeta広告はほぼ全てのEC事業者にとって必須と言えます。
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ECマーケティングのCVR向上のための戦略
せっかく集客しても、購入に至らなければ意味がありません。
以下のCVR(コンバージョン率)を高める施策を体系的に行うことが重要です。
- ランディングページ最適化
- サイト内検索の充実
- レコメンド機能
- カゴ落ち対策
- UIや導入導線の見直し
- 決済手段の追加を検討
- レビュー・口コミ施策
ランディングページ最適化
ランディングページ(LP)とは、訪問者が最初に接するページのことです。ランディングページを最適化することで、商品の魅力を理解してもらったり信頼性を高めることができます。CTAへの誘導を高め、コンバージョンにつながるように改善することが重要です。
具体的な最適化の施策としては以下が挙げられます。
- 訴求の明確化
- 明確なCTA
- 迷いを減らすUI
最初の5秒で「誰に・何を・なぜ今」を伝えるのがポイント。 A/Bテストを繰り返しおこない、ファーストビューを改善することが鍵となります。
サイト内検索の充実
ユーザーがサイト内で商品を探しやすくすることで、直帰率を下げる施策も重要です。検索を行う訪問者は購入意図が高く、CVR・売上への寄与が相対的に大きいといわれています。
検索ワード分析によって、訪問者が探しているけど見つからない商品を特定することが可能です。
検索窓以外にも、種類や用途など探しやすいカテゴリメニューの設置もおすすめです。
レコメンド機能
おすすめ商品を表示させるレコメンド機能も、購入率アップに効果的です。
購入履歴や閲覧データから関連商品を提示。似たような商品を表示させることで訪問者が商品を比較検討しやすくなります。
レコメンド機能導入により、日本最大級のクラウドファンディングプラットフォームであるCAMPFIREはトップページの推薦枠で従来の約2倍の誘導効果を実現しています。売上の約1割をレコメンド経由で実現したという山善ビジコムの事例もあります。
レコメンドによる提案により、まとめ買いや合わせ買いを促進し、リアル店舗に近い訴求が可能になったと考えられます。
Amazonのような「あなたへのおすすめ」はECのレコメンド機能の定番です。他の人が一緒に購入している商品などの表示も客単価のアップにつながります。
カゴ落ち対策
カートに入れたのに買わないといった状況を「カゴ落ち」といいます。世界平均のカゴ落ち率は約70%といわれています。つまり10人中7人は途中で離脱するということ。カゴ落ち対策の伸びしろは最も大きい領域なのです。
以下はカゴ落ちの理由の調査結果です。

米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の「2025年版Eコマース・コンバージョンレポート」の調査結果
スマホユーザーは途中離脱が多く、決済導線の煩雑さや送料表示の遅さがカゴ落ちの原因となります。
対策としては、以下が挙げられます。
- 送料・配送日を早めに明示
- ゲスト購入(会員登録なし)対応
- 離脱リマインドメール・LINE通知
カート投入後に離脱したユーザーへリマインドメールを送ることで、平均10〜20%の再購入を促進することが可能です。
送料・手数料・到着目安を前倒しで表示させることも、最終画面で料金を確認して驚いて購入を止めるという事態を防ぐのに役立ちます。
UIや導入導線の見直し
ユーザーが簡単にスムーズに購入できるということも重要です。
- 読み込みが遅い
- 入力項目が多い
- 見にくい
などを感じると、ユーザーが離脱しやすくなります。
購入導線・ボタン配置・フォーム項目数などを最小限にするのがポイント。1クリック減らすだけでCVRが上がるケースもあります。
決済手段の追加を検討
Eコマースにおいて、決算手段の追加はCVRを高めるために極めて効果が高い戦略の一つです。
なぜなら、決済フェーズはユーザーが最も離脱しやすいポイントだからです。前述したカゴ落ちの理由にも、希望する決済手段がないことがカート放棄の理由としてあげられています。

画像引用:SB Payment Service
上記は決済手段の不足によるサイト離脱状況を表したものです。購入意欲が高くても、よく利用する決済手段がない場合は6割以上が購入することなく離脱していることがわかります。
- クレジットカード
- スマホ決済(Paypay・楽天ペイ・Apple payなど)
- 後払い(NP後払いPaidyなど)
- Paypal・Stripe
- 銀行振込・コンビニ払い
などの決済方法が選べることは、ユーザーの支払いの心理的ハードルを下げることにつながります。
主要決済(カード)+モバイル決済+コンビニ or 後払い」の3〜4種を導入することで、業態によってCVRが数%〜20%超の改善する効果が期待できるという調査結果もあります。
ユーザーの年齢層などに応じて、決済手段を3~5種程度導入していくと良いでしょう。
参考:stripe
レビュー・口コミ施策
レビュー・口コミ施策は、顧客の購入を後押しするのに有効な手法です。
レビューは社会的証明として商品信頼の可視化・不安払拭・共感形成を実現し離脱防止に直結するからです。
購入後のフォローとしてレビューを集め、ファーストビューやカート付近で表示させることが有効です。
レビューをSEO対策やSNS投稿と連携させてUGCとして活用することも長期的な集客につながります。
ネガティブレビューには誠実に対応し、透明性を持たせることで信頼を維持することが可能です。
レビュー・口コミ施策は、単なる評価表示だけでなくブランド信頼の仕組みとしてCVR向上に役立ちます。
施策を繰り返し実施することでCVRが20~30%程度改善することが期待できます。
ECマーケティングのリピーター獲得のための戦略

ECでは新規顧客獲得コストが高騰しており、リピート率が利益を左右します。既存の顧客は新規よりも獲得コストが低いだけでなく、長期的な収益をもたらしてくれるからです。
顧客を分析して直近の購入履歴や頻度・金額を特定し、SNSやメールの広告をイベント駆動で自動化。これによって再購買の増加と離脱の抑制に取り組みます。
具体的なリピーター獲得のための戦略を以下で解説していきます。
- 顧客分析
- メールマガジン・LINE
- ポイント付与などの会員特典
- SNS活用
- リマーケティング広告
RFMで誰をターゲットにするか決め、イベント駆動でメールなどの広告を自動で当てることからリピーター獲得できるケースもあります。値引きだけでなく継続したくなるような施策も必要です。
リピーターは「誰に・何を・いつどこで届ける・結果をみる」の4ステップで増加を目指します。最初は自動化して回すのがコツです。
「顧客を増やすより離脱を減らす」方が効率的です。LTV(顧客生涯価値)最大化を意識しましょう。
顧客分析
ECにおけるCRM(顧客管理)の重要性は、顧客情報の一元管理と、それに基づいた最適なアプローチによる顧客満足度・リピート率の向上、そして最終的な売上最大化にあります。
具体的には、顧客の購買データや行動履歴などを分析し、パーソナライズされたマーケティング施策や顧客対応を行うことで、リピート購入を促し、アップセル・クロスセルにつなげることができます。
また、分析によって改善点を早期に特定できるので、顧客の満足度を上げることにもつながります。満足度の高い顧客はSNS投稿や口コミなどで発信し、新規獲得効率を上げる活動が期待できるでしょう。
再購買率・LTVを高めるための施策として顧客分析は欠かすことができません。
メールマガジン・LINE
メールマガジンやLINEは最も低コストで再購入を促せる直販チャネルです。ですが、量よりも質が大切。「件名・セグメント・タイミング」は慎重に検討しましょう。
購入履歴に応じたパーソナライズ配信が効果的です。最適なタイミングでユーザーが求めている情報を配信することが重要です。
メールマガジンの開封率の平均は約20〜30%とされています。
- <名前>様だけの先行案内
- 【〇日ぶり】前回の○○~
など、件名・1行目の文章・CTAは開封したくなる件名の工夫が重要です。
特に日本はLINEが最も利用され、ユーザーとのコミュニケーションの基盤となりやすいです。
LINE公式アカウントの友達追加を促すには、購入完了画面やメールにQRコードを添付すると良いでしょう。友達追加後は、アフターケアやレビュー依頼・クーポンの発行などで商品価値の再認識を行います。
再購入や定期の変更・サポートなど、ユーザーがスムーズに購買活動を行える工夫も大切です。
ポイント付与などの会員特典
会員特典(ロイヤルティプログラム)があることで、継続したい理由を構造化することが可能です。
- 会員特典の例:ポイント、段位、誕生日特典、同梱体験、会員限定の先行販売など
消費者の8割以上はポイント機能があることで「サービスを継続して利用するようになる」と回答したという調査結果があります。

画像引用:GMO「ポイントがユーザーに与える影響」に関する調査の結果
初回購入者へのポイント還元+次回利用期限設定によって、再購入率が20〜30%改善した事例もあります。
会員特典は、再購買の増加と離脱の抑制に効果があるといわれています。
特典は値引きだけでなく、会員だけの限定体験が長期的なLTVを押し上げる要因になります。
会員特典があることで、「今買うほうがお得」という動機が生まれ購買心理を刺激します。
会員登録によってブランドとの関係性が深くなり、安心感と特別感が生まれます。ポイントがあることで「もったいないから使おう」という動機が生まれ、サイトへの再訪率が押し上げられる効果も期待できます。
ポイントの付与・バースデークーポン・限定セールなどはロイヤルティの向上に役立ちます。サブスク型のECにも有効です。
SNS活用
SNSの活用はリピーター獲得戦略に有効です。SNSは広告よりも自然な形でブランドの記憶を維持させることができるからです。ユーザーに再びサイトに戻ってきてもらうトリガーとなり得ます。
Instagramのストーリーズで購入者の声を紹介したり、フォロワー限定のリピーターキャンペーンで割引コードを配布することは有効な施策です。
Xでのユーザーの投稿を引用してリポストしたり、定期的な在庫復活や再入荷・限定商品の告知をおこなうことも再購入のきっかけとなります。
開封動画や使い方動画などをのTicTokでの配信したことで、定期継続率の向上につながったケースもあります。
SNSを活用してユーザーの記憶に残り続けることが、リピーター獲得につながっていきます。
リマーケティング広告
リマーケティング広告とは、自社のサイトを訪れたユーザーに対して再度広告を配信する仕組みのことです。例としてGoogle広告やMeta広告などがあげられます。
すでに自社の商品を知っているので、新規顧客よりCPAが安くなる傾向があります。
購買意欲が高いユーザーに再アプローチできるだけでなく、過去に購入したユーザーには定期的な接触を取ってLTVを最大化することができます。
リマーケティングを行う際は、目的別にセグメントを細分化することが重要です。セグメントはカート離脱・商品閲覧のみ・購入済み・上位顧客などに分けて設計します。
広告の多すぎは逆効果なので、頻度管理を徹底して過剰配信を防ぐことも重要です。
メルマガとLINEは効率的に売上を伸ばしやすいため実施することをオススメします。
ECマーケティングの課題と対策
ECマーケティングには課題がいくつかあります。
- 集客や新規顧客の獲得の難しさ
- リピーター対策しないと売上が伸びない
- 顧客のニーズを満たす商品数を揃える
ECの課題の本質は集客と継続です。ユーザーの信頼を得てデータを活かした取り組みが、ファン化の基盤となります。
それぞれの課題と対策を確認しておきましょう。
集客や新規顧客の獲得の難しさ
ECでは集客や新規顧客獲得の難しさが大きな課題となっています。商品の認知のために広告をしたくても広告単価が上がっていることや、競合が増えて差別化が難しくなっていることが理由としてあげられます。
対策としては以下が挙げられます。
- ターゲットを明確にする
- 検索・SNS・広告を組み合わせる
- LP・商品ページを改善する
- 紹介・口コミを促進する
「誰に」「どんな悩みを解決するための商品か」を明確にすることが重要です。SEOで検索によるサイトへの流入を増やすこと、InstagramやXでユーザーのリアルな口コミを紹介することで信頼を獲得することができます。
実際に使った人の生の声は、企業の宣伝よりも信用されやすいです。安心して購入できると判断できるよう、不安を軽減できる情報を発信しましょう。
リピーター対策しないと売上が伸びない
初回購入に成功しても、リピートがなければ利益は積みあがりません。
定期便での継続購入を促したり、チラシやメールで再購入を提案するなど再購入率を向上させる取り組みも必要です。
リピートにつながらない原因としては、
- 購入後のフォローがない
- 商品の良さ・使い方を伝えきれていない
- 定期購入やまとめ買いの仕組みがない
- SNSやメールでの再接触ができていない
といったことが考えられます。
具体的な対策としては、購入後も到着メールや使い方・効果が出るコツなどを配信したり、リピート時期に合わせて再購入リマインドを自動配信することが有効です。定期購入やまとめ買いへの導線が整備されていることも重要です。
UGCを紹介したりブランドのストーリを発信することも、ブランドへの信頼や世界観への共感につながります。
顧客のニーズを満たす商品数を揃える
顧客ニーズを満たす商品数をそろえることは、売り上げとLTV向上に直結します。
求めている商品が見つからないとサイト離脱につながるからです。最も重要なのは、顧客が欲しい商品が見つかる状態を常に維持することです。品揃えが不十分だと離脱や他サイトへの流出が起こりCVRが低下します。
また、サイズ・色・用途などのバリエーションを適切にそろえることも重要です。検索意図を広くカバーするここで、自然検索や広告での露出の増加も期待できます。豊富な選択肢は「このサイトなら自分に合うものが見つかる」という信頼を生み、リピート率を高めます。
さらに、上位商品だけでなくロングテール商品を充実させることで、売り上げの安定が実現するでしょう。重要なのは数ではなく、顧客需要をどれだけ正確にとらえた品ぞろえであるかという点にあります。
データ分析を通じて購買傾向を把握し、適切な商品数をそろえることが成功のカギといえるでしょう。
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ECマーケティング戦略の成功事例
ECマーケティング戦略を行って成功した事例を紹介します。
- 西松屋
- 小樽洋菓子舗ルタオ
- カシオ
成功した企業に共通しているのは一貫した顧客体験設計です。広告やSNSを活用することや購入後のフォローまでが連続していて、リピートやファンを増やすことに成功しています。
西松屋

画像引用:西松屋
西松屋はユーザーとのタッチポイントを増やす施策として、独自アプリとSNSを活用しています。ママ層に特化した情報発信でリピート率を強化。
自店舗のリピーター向けに、店頭での案内やオンライン限定のキャンペーンなどオンラインと実店舗の融合(OMO)が成功の要因となりました。マタニティ層にむけて月齢ごとにメルマガを配信するなど、不安を解消する情報の提供を行うことでメルマガの開封率をアップ。
ECサイト独自のキャンペーンの実施やSEO対策によりCVRを向上させています。
小樽洋菓子舗ルタオ

画像引用:ルタオ
コンテンツマーケティングとリターゲティング広告を組み合わせ、ブランドストーリーでCVRを上昇させた成功事例です。
ルタオの主力商品「ドゥーブルフロマージュ」などの開発秘話や素材・食品の想いなどを深く掘り下げたコンテンツの提供により、ストーリーのある特別な商品として顧客の購入意欲を向上。
サイトを訪れたユーザーには、適切なタイミングとメッセージでリターゲティング広告を戦略的に行いました。
これによって購買意欲が高まるだけでなくロイヤルカスタマーの育成にも成功しています。パーソナライズされた顧客コミュニケーションにより、ロイヤルカスタマーのCVR50%という驚異的な成果をあげています。
カシオ

画像引用:カシオ
カシオは越境ECを積極的に展開し成功した事例としてあげられています。デジタル広告とローカライズ戦略を組み合わせ、海外売上の拡大を成し遂げています。
各国・地域で公式ECサイトを積極的に展開し、現地の市場に合わせた商品ラインアップ・価格設定を実現しています。自社ECと直営店を連携させるOMO戦略を強化し、国境を超えたリピーターを獲得。
デジタル広告とOne to Oneマーケティングで、最適なターゲットに最適なメッセージを届け、ECへの誘導とエンゲージメントの強化に成功しています。
ECマーケティングの最新トレンド
ECマーケティングでの最新トレンドも押さえておきましょう。
- 顧客データと購入履歴の活用
- AIの活用と新技術による効率化
- 越境ECの発展
- ライブコマースの急成長
データと最新技術だけでなく、顧客の体験価値をあげることが今後のECマーケティングの中心となります。
顧客データと購買履歴の活用
「誰が・いつ・何を・どのように買ったか」というデータが活用されています。
CDP(Customer Data Platform)を導入すれば、全チャネルの顧客行動を統合管理することが可能です。
- 自社サイトでの購入履歴
- LINEでの反応
- メール開封履歴
- SNSでの行動履歴
など、あらゆるチャネルの情報を1か所で統合できます。このデータをもとに商品の提案や購入タイミングに合わせたメッセージを送ることが可能になります。
AIの活用と新技術による効率化
AIは多くのECプラットフォームで標準搭載されています。
顧客データや購買履歴を分析しておすすめ商品を表示したり、チャットボットによる問い合わせ対応を自動化するなどで活用されています。
売れ筋や季節などトレンドから自動発注をするなど、在庫管理もAIに任せることが可能です。コンテンツの自動生成などマーケティングの効率の向上にも役立っています。
データ分析の精度アップや業務の効率化によって、より戦略的な業務に集中できるようになり人材不足の解消にもつながっています。
越境ECの発展
越境ECが発展していることも最近のトレンドです。
近年、世界では「メイド・イン・ジャパン」が再注目され、美容・食品・雑貨ジャンルの人気が高くなっているからです。ShopifyやBASEなどでも海外販売機能を使う企業が急増しています。
日本製品への海外需要の拡大にともない、多言語対応・決済手段の多様化が求められています。現地の人が母国語で安心して買える機能が整っていることが必要となります。
ライブコマースの急成長
ライブコマースがZ世代を中心に急速に普及しています。
インフルエンサーやショップスタッフがリアルタイムで商品を紹介して、そのまま購入が可能。日本ではInstagram・TicTok・YouTubeなどで急拡大しています。
日本国内では市場規模が約3,000億円に達し、中国では既に約100兆円規模に拡大しています。今後も年平均30%以上で成長すると予測され、特にファッション・美容・食品など視覚的訴求が強い商材での導入効果が高いといわれています。
ライブコマースはリアルタイムで質問・コメントが可能なので、ユーザーの信頼醸成と購買意欲の向上につながります。単なる販売ではなく、双方向コミュニケーションによる購買体験の強化が基盤となっています。
また、ライブ配信後のアーカイブ動画を活用することで継続的な集客・CvR改善に役立てる運用も有効です。
今後はインフルエンサー活用・プラットフォーム連携・CRMデータとの統合などの仕組みを設計することが重要となります。
ブランド体験を拡張するマーケティング資産としてライブコマースは注目されています。
自社ECで成果が出ている場合はモール出店を検討してみましょう。
ECマーケティングについてQ&A
ECマーケティングについて気になるQ&Aを紹介していきます。
- ECマーケティングとWebマーケティングの違いとは?
- デジタルマーケティングとは?
- ECサイトとは?
ECマーケティングとWebマーケティングの違いとは?
ECマーケティングとWebマーケティングは目的・手法・KPI(評価指標)・組織構造が明確に異なります。
定義の違いや目的の違いを以下の表にまとめました。
【ECマーケティング】
- 定義:EC(電子商取引)を通じて商品を売ることに特化したマーケティング
- 目的:売上・LTV(顧客生涯価値)最大化
- 対象:ECサイト(自社・モール)
- KPI:売上・CVR・CPO・ROAS・LTV
【Webマーケティング】
- 定義:Webを活用して顧客を獲得・育成するための総合的なマーケティング
- 目的:認知・集客・リード獲得・ブランド構築など幅広い
- 対象:自社サイト・メディア・SNS・広告などWeb全体
- KPI:CV数・CTR・CPA・リード数・サイト流入数など
ECマーケティングとは販売目的に特化したWebマーケティング。Webマーケティングは認知・集客・リード獲得・ブランド構築など目的が幅広い総合的なマーケティングです。
成功するEC企業の多くは、Webマーケティングで集客・認知を行いECマーケティングで購入の導線やリピート戦略といった連携した構造を持っています。
デジタルマーケティングとは?
デジタルマーケティングとは、インターネットやデジタル技術を活用して顧客を獲得・育成・維持するためのすべてのマーケティング活動をさします。
デジタルマーケティングの例には、SNS広告、リスティング広告、メールマーケティング、オウンドメディアの運営、アプリを活用したO2O施策などがあります。
具体的には、SNSで情報を発信したり、検索エンジンで上位表示されるためのSEO対策を実施したり、顧客リストにメールマガジンを配信したりすることが含まれます。
WebマーケティングがWebサイトを中心とした集客・SEO・広告運用を刺すのに対し、デジタルマーケティングはより広義の概念でオフライン・オンラインの統合まで含みます。
あらゆるデジタル接点で顧客データを活用する包括的な概念です。
オンライン上のあらゆる接点を通して企業と顧客をつなぐ仕組み全体を意味しています。
ECサイトとは?
ECサイトとは「Electronic Commerce」の略で、インターネット上で商品・サービスを販売するWebサイト全般を指します。Eコマースということもあります。
24時間365日いつでもどこでも買い物ができることや、実店舗に比べて運用コストが低いなどの特徴があります。
主なECサイトの種類は以下です。
- モール型ECサイト:Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなど
- 自社ECサイト:自社で独立してWebサイトを運営
顧客の行動データなどを分析しやすく、商品の企画やマーケティングに活用されています。
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まとめ
ECマーケティングとは、単なる広告運用ではなく、集客・転換・リピート・分析を一貫して最適化する総合戦略です。
オンラインに特化した販売活動で、世界中のユーザーをターゲットにしているという特徴があります。様々な方法で集客を行い、CVRを高める施策を体系的に行うことが重要です。
長期的な収益のためには、新規顧客獲得だけでなくリピーター獲得のための施策も行う必要があります。データを分析しユーザーへの提案や商品の改良に活かすことが顧客のニーズを満たすことにつながります。
SNSの活用や会員特典・リマーケティング広告などで再購買の増加やカゴ落ちなどの離脱の抑制などの施策が必要です。
こういった施策を継続的に磨くことで、短期的な売上だけでなく、中長期的なブランド成長を実現できます。